米小売業者、高コストを慎重に消費者に転嫁へ * 2010年 10月 4日 WSJ

2010年10月4日月曜日

 ビールからドレスまで、ステーキからタイヤまで、さまざまな主要消費財を販売する米小売業者は値上げによる米国経済力の集団テストを行いつつある。

 コーヒーチェーンのスターバックスや衣料品販売のジョーンズ・アパレル・グループ、それにグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーなどは原料費の上昇と格闘しており、その一部を消費者に転嫁つつある。

 小売業者がこうした値上げをせずにどこまで耐えられるかは、連邦準備理事会(FRB)の米経済の見方に影響し、新たな景気刺激策が必要かどうかの判断を左右する可能性がある。FRBは9月、追加刺激策を検討している主な理由が低いインフレ率であると指摘した。

 商務省が1日に発表したところでは、変動の大きい食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)物価指数の「コア」は前月比0.1%の上昇で、7月と同じだった。前年同月比では1.4%の上昇で、FRBが望ましいとするレンジを下回った。

 カルバンクラインやトミー・ヒルフィガーなどのブランドを持つフィリップス・バン・ヒューゼンのキリコ最高経営責任者(CEO)は「だれもが値上げを口 にしている」と指摘した。同CEOは、同社のコストは5~7%増えているとし、今年末から3~4%値上げをしてコスト上昇分の一部を取り戻したいと述べ た。

チャート

PCE物価指数(前年比)推移

 今のところ、景気回復力に対する疑念は消えないでいる。1日発表された指標は景気が大体において失速していることを示した。

 消費者が値上げを受け入れるなら、景気低迷が峠を越えたことを示唆しているといえるが、インフレがスパイラルに陥ることの警告とも受け取れる。消費者が 値上げを拒否すれば、これは挫折を意味し、企業利益に打撃を与える恐れがある。値上げで売上高が落ちれば、一部の企業は値上げを撤回して値引きに走る可能 性がある。

 大和キャピタル・マーケッツの主任エコノミスト、マイケル・モラン氏は「いつでもこうした妥協や瀬踏みというものがある」と述べるとともに、「インフレ率は最近見られたような低水準にとどまろう」との見通しを示した。

 その上で同氏は、高失業率が続き賃金の伸びが低いことから、消費者の値上げ受け入れの程度は限られていると指摘した。

 それにもかかわらず、企業は一部の労働コスト、特に海外製造におけるコストと、商品価格が上昇していると指摘する。商品価格は通常、企業のコスト構成では小さいが、最近は綿花が今年これまでに38%、コーヒーが33%、ゴムが17%など、急激な値上がりを見せている。

 一部の企業は今年に入って値上げに成功し、インフレへの影響もほとんど出ていない。グッドイヤーは1日、消費者向けタイヤを6%値上げしたが、これは6 月の同幅の値上げに次ぐものだ。この6月の値上げによって同社の北米売り上げは第2四半期に増加した。同社は原料の値上がりを理由に挙げた。

 リセッションは定義上では1年以上前に終わったにもかかわらず、多くの企業は消費者の反発とライバルに売り上げを奪われるのを恐れて、値上げを控えてい る。しかし、機は熟したと判断する企業が出てきた。サイモンクチャー&パートナースのパートナー、フランク・ルビー氏は「今は、価格支配力がほとんど、あ るいは全くないと仮定するよりもむしろ自分の価格支配力を試してみるべきときだ」と指摘した。


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