日経社説 民主に郵政逆走を止める気はあるか(3/30)

2010年3月30日火曜日

 鳩山民主党政権は「官から民」を進めるのか、それとも「民から官」への逆走を黙認するのか。郵政事業の今後を巡る深刻な閣内対立をどう解くかで、方向がはっきりする。

 発端は国民新党代表の亀井静香郵政担当相と民主の原口一博総務相が合意した郵政見直し案である。

 亀井氏は24日、原口氏同席の記者会見で、郵便貯金の預入限度額をいまの2倍の2000万円に上げるなどの案を発表した。「鳩山由紀夫首相も了解ずみ」と念を押した。

 亀井氏はこのほか、日本郵政のグループ内取引で消費税を免除する意向も示した。

 これに仙谷由人国家戦略相や菅直人副総理・財務相ら民主党の閣僚が一斉に反発した。亀井、菅の両氏は郵貯限度額を巡り「連絡した」「聞いていない」とテレビ番組でも水掛け論になった。内閣としてのまとまりを欠き、醜態をさらした。

 30日の閣僚懇談会で打開策を探るが、露呈した与党内の基本的な路線対立が簡単に収まる兆しはない。

 亀井氏は小泉政権の郵政民営化を全否定し、全国郵便局長会を支持母体とする国民新党を率いる。郵貯や簡易保険の規模拡大で、全国一律の郵便・金融サービスの原資をまかなう考え方だ。民間金融機関の活力を奪い、非効率な官製金融を温存させるおそれがある。

 民主党は2005年の衆院選で郵貯限度額を段階的に500万円に下げる縮小論を主張した。今回の案は正反対だ。仙谷氏は郵貯拡大でもほとんどが国債に回り、それが経済にゆがみをもたらすと指摘した。

 まっとうな主張だが、いまになるまでなぜ口を閉ざしていたのか。

 政府内の混乱が増幅したのは、郵政事業の将来像について定見を示さない首相の指導力不足が大きい。米軍普天間基地の移設先をめぐる迷走と同じ構図だ。政権としての意志がみえず、意見調整も十分に機能していない。

 鳩山政権は連立を組む社民党や国民新党の主張にも耳を傾けざるをえない立場にある。だが、政府の関与が続く郵貯を膨らませ「脱官僚依存」を後退させれば、有権者の失望を買うだけだ。

 首相や閣僚は日本の金融システムの中で郵政をどう位置付けるか、もう一度原点に立ち返って議論すべきだ。特に民主党には改革の「逆走」とも言うべき流れを本当に止める気があるかどうかが問われる。

 限度額の引き上げ幅を縮めたり、結論を先送りしたりして当座をしのいでも、何の解決にもならない。


日本経済新聞全文引用
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A9693819699E0EBE2E2E68DE0EBE2E1E0E2E3E28297EAE2E2E3?n_cid=DSANY001

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郵政法案迷走 またも露呈した指導力のなさ(3月27日付・読売社説)

2010年3月28日日曜日

 郵政改革法案の策定作業が、土壇場で迷走している。亀井郵政改革相と原口総務相が発表した最終案に閣内で異論が噴き出したためだ。

 首相は、内閣を二分しかねない事態を深刻に受け止め、自ら収拾にあたるべきだ。

 仙谷国家戦略相は、最終案に盛り込まれた、ゆうちょ銀行の預入限度額の1000万円から2000万円への引き上げは、国債運用に回る資金を増やすだけで、民間への融資や投資の拡大につながらないと批判した。的確な指摘といえよう。

 菅財務相は、亀井氏が日本郵政グループ間の取引に消費税を課さないようにするとしていることに関し、「聞いていない」と述べた。郵政だけに特例措置を認めるのは筋が通らない、という判断からであろう。

 これに対し、亀井氏は、最終案の発表前に首相の了解を得ていると反発した。今度は首相が「了解していない」と発言して混乱に拍車をかけ、双方が水掛け論を演じる醜態ぶりだ。

 郵政改革の骨格部分について、首相と担当閣僚や、閣僚同士の対立が露呈する。これでは、野党から内閣の体をなしていないとの批判が出るのも当然だ。

 首相は一体、郵政改革法案づくりの進捗(しんちょく)状況を、どこまで把握していたのか。結局、改革の主要部分まで、亀井氏らに丸投げしてきたことのツケがまわってきたということだろう。

 首相の指導力不足が、混乱の主因といえる。

 民主党が野党時代の2005年に示した改革案は、郵貯の限度額について、引き上げどころか、500万円に下げる内容だった。

 当時幹事長だった鳩山首相は、小泉内閣の法案を、「官業の民業圧迫」と批判し、民主党案の方が優れていると主張していた。民主党本来の政策を転換するなら、十分な説明が必要になろう。

 26日の閣僚懇談会で、首相は、全閣僚による懇談会を開いて調整するよう指示した。

 しかし、亀井氏は、ゆうちょ銀行の預入限度額は変更しない考えを示している。原口氏も「手続きに瑕疵(かし)はない」と言う。

 首相は26日の記者会見で、「閣議で決まる前に、いろいろな声が閣僚の中にあるのは、むしろ健全だ」と述べた。閣内不統一を呈している現状への危機感がまったく感じられない発言だ。

 こんなことで、内閣を束ねていけるのだろうか。

2010年3月27日02時28分 読売新聞)

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日経社説 エコカーへの期待高める日欧3社提携(3/26)

 日産自動車が独ダイムラーと相互出資交渉を進めていることを明らかにした。日産の筆頭株主でもある仏ルノーも加わり、3社連合で環境技術の開発を強化するという。

 自動車メーカーにとって、二酸化炭素(CO2)の排出の少ない環境対応車の開発は最大の社会的責任であるばかりでなく、売れ筋でもある。新たな提携によって、環境技術の開発・実用化に弾みがつくことを期待したい。

 一昨年のリーマン・ショック以降、自動車産業は数々の激震に見舞われた。世界最大のメーカーだった米ゼネラル・モーターズ(GM)は法的整理の道をたどり、世界最強とされたトヨタ自動車も大量リコール問題でつまずいた。

 世界市場の重心も西から東に移動し、米欧市場が足踏みする一方で、中国やインドなどアジアの新市場が急速に成長している。技術面では100年続いたガソリンエンジン一辺倒の時代が終わり、ハイブリッド車や電気自動車など環境対応車をめぐる競争が幕開けした。

 個々のメーカーにとって急激な環境変化への対応は待ったなしだ。昨年末にはスズキと独フォルクスワーゲンが提携し、両社あわせればトヨタを上回る巨大連合が誕生した。

 日産・ルノーとダイムラーの提携交渉も、背景にあるのは規模拡大やライバルとの協力によって激震を乗り切ろうという経営トップの意志だ。日産のカルロス・ゴーン社長はここ数年、GMや米クライスラーとの提携に意欲を燃やしたが、実を結ばなかった。

  次の提携相手として、ダイムラーに注目したのは、もともと研究開発の地力があるうえに、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせたディーゼルハイブリッ ドなどに優れるからだろう。日産・ルノーに一日の長がある電気自動車と組み合わせれば、次世代エコカー技術の厚みが増すことになる。

 積極的に提携戦略を仕掛ける日産に比べると、トヨタとホンダの2社は「自前主義」を掲げ、他社との提携にはさほど関心を示してない。

 1990年代末に加速した前回の自動車再編ブームではダイムラー・クライスラーなどの大型合併は失敗したのに対し、派手な再編に背を向けて、自社の実力向上に専念したトヨタやホンダが飛躍した。

 提携や再編はそれ自体が目的ではない。日産再生で一時はカリスマ経営者ともてはやされたゴーン社長が提携を実現に導き、その成果をどう生み出すかに注目したい。

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ニュース記事ログ3/14

2010年3月14日日曜日

大学生の「就業力」アップ、国が5年計画

大学生の就職内定率が就職氷河期以来の落ち込みを記録する中、文部科学省は、2014年度までの5年を大学生・大学院生の「就業力」向上の重点期間と位置づけ、大学の財政支援などに乗り出す。

 10年度予算案で、既存の補助金などと別枠で30億円を確保、公募により、インターンシップ(就業体験)を卒業単位に 認定するなど積極的な指導を行う国公私立大130校に資金配分する。また、私大約500校に来年度まで就職相談員を配置、大学生らの就業危機脱出を支援す る。

 公募で選ばれた大学には、国立大への交付金や私学助成とは別枠で1校につき約2300万円ずつ配分する。選考基準は今後定めるが、1年生から将来 の進路を考える科目が必修化されている金沢工業大(石川県)や、調査能力、国際感覚など社会人に必要な能力育成を意識した講義を行う東京女学館大(東京 都)、就業体験を単位に認定している一橋大(同)などの例を念頭に置いている。

 財政支援を行うことでこうした取り組みが他大学に波及する効果も期待している。大学院生や、就職が決まらない既卒者の支援も産業界などと連携して進める。

 一方、就職相談員の配置は、企業で採用や人事を担当した経験者や民間の就職支援関連資格保有者の雇用費用を国が負担するもので、国公立大と一部私大を除く495校を対象に来年度まで支援する。

 同省などが12日に発表した2月1日現在の大学生の就職内定率は80%(前年同期比6・3ポイント減)で、調査を始めた00年以降で過去最低。新 卒で就職する学生の3割が3年以内に離職しているというデータもある。各大学は独自に指導を行っているが、個々の学生の個性や職業観を踏まえた職業教育を 行う大学がある一方、「面接対策など小手先の指導にとどまる大学も多い」(文科省)という。

2010年3月14日03時08分 読売新聞)

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ニュースログ3/11

2010年3月12日金曜日

ホンダ「CR―Z」、発売2週間で7000台受注

 ホンダが2月26日に発売した新型ハイブリッド車「CR―Z」の受注台数が、発売から2週間で7000台強に達した。年間販売計画は1万2000台で、 すでに年間計画の約6割の受注を獲得、異例のハイペースの受注となっている。燃費の良いハイブリッド専用車で、ホンダが久々に発売したスポーツカーという 話題性も重なり、支持を集めているようだ。

 予約者は、「30代以上の独身者」が35%、「40代以上の子離れ層」が35%、「20代独身者」が15%を占めており、大半は男性という。(08:31)日経


トヨタ、早期退職750人を英工場で募集

 【ロンドン=石井一乗】トヨタ自動車の欧州法人(ベルギー)は11日までに、英国工場で750人程度の早期退職者を募集することを決めた。同工場の人員 の約2割に当たる。これに伴い、昨年4月に導入したワークシェアリングは中止する。同工場ではこれまで雇用を維持しながら市場の縮小に対応してきたが、 いっそうの合理化に踏み切る。

 同工場のワークシェアリングは実質的に1割の人件費カットに相当する。ただ今年後半をメドに早期退職者の募集を始めることで、ワークシェアリングの必要性が薄れた。同工場では併せて、今年の賃上げも凍結する。(01:38)日経


日立、11年春採用は850人 前年から据え置き

 日立製作所は12日、2011年春入社の新卒採用を850人と前年から据え置くと発表した。大学・高専卒が700人、高校卒が150人。経験者採用は50人で、理系と文系の比率は公表していない。

 新興国を中心に社会インフラ事業などで海外市場を開拓するため、海外大学の在籍者や国内大学の留学生を積極的に採用するという。国内連結子会社の採用も4200人と前年から据え置く。(16:36)日経



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朝日社説 98の空港―無責任のツケを誰が払う

またひとつ、前途が心配な空港が誕生した。全国で98番目となった茨城空港。経営を黒字にできる確かな見通しもないままつくられたのは、なぜなのか。よく考えてみたい。

 空港経営を黒字にできなければ、その負担を負うのは国民である。

 地元には、羽田空港や成田空港に続く「首都圏第3空港」として期待する声もある。だが、茨城空港の定期就航はソウル便と神戸便のわずか2路線しか決まっていない。

 成田や羽田に近すぎて、航空各社が就航を見合わせた。年間の利用客数は、着工前の予測の5分の1ほどしか見込めない状況にある。空港運営で大きな赤字が避けられないほか、県の公社が営むターミナルビルでも赤字は年間2千万円ほどになりそうだ。

 需要が期待はずれとなった空港は珍しくない。海外も含めたビジネスや観光などで、利用客がこれから増えるに違いない。そんな捕らぬタヌキの皮算用があちこちで幅をきかせ、地元の期待をあおった。しかし、開港後は厳しい現実に直面する。日本中、そんな空港であふれている。

 国土交通省がまとめた全国の空港の国内線の状況によれば、比較可能な69空港のうち、実績が需要予測を上回ったのはわずか8空港だった。

 不況も一因ではあろう。しかし、建設反対論を押し切ろうと、もともと甘い需要見通しをつくったのではなかったか。そんな疑いもぬぐえない。

 需要予測は、人口や国内総生産の将来予想、観光需要などをもとに作られる。本来は客観的なものとなるはずだが、その調査の多くは国土交通省出身者が幹部を務める財団法人などに委託されている。

 全国の空港で駐車場や保安業務の多くを請け負っているのは国交省航空局が所管する27の公益法人だ。うち20法人に官僚700人以上が天下っている。空港利権に期待する関連業界や自治体、政治家。官僚もそのなれ合い構造にくみした結果が、無責任な空港建設につながったのではないか。

 98空港の多くは赤字経営だ。その運営維持に巨額の税金がつぎ込まれ続ける事実も忘れてはならない。昨年1月に日本航空が撤退して経営が苦しい福島空港では、空港運営の赤字を税金で年間3億~4億円穴埋めしている。

 アジアなどからの客を呼び込むなど、各空港が経営の改善に向けて努力することが望まれる。だが赤字垂れ流しをいつまでも続けることはできない。見通しが困難な空港は、思い切って統廃合を進めるしかない。

 ハブ化する羽田との連絡など航空網の未来図はもちろん、新幹線と高速道路も含む総合的な基幹交通ネットワークを描きながら、空港ごとの採算性を厳しく問いたい。


asahi.com 全文引用

http://www.asahi.com/paper/editorial20100312.html?ref=any#Edit2

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日経社説 多すぎる空港の「選択と集中」を進めよ(3/12)

 国内で98番目の空港となる茨城空港が11日、開港した。関係者は「羽田、成田に続く首都圏の第3空港」と意気込むが、就航の決まった定期路線は神戸とソウルの2路線だけで、苦戦は免れそうにない。

 全国には茨城に限らず、需要見通しが甘かった空港が目立つ。国土交通省によると、開港前などに需要予測を出した75空港のうち、直近の国内線利用実績が予測を上回ったのは8空港にとどまった。

 空港を建設したいがために、あえて高めの予測数字をつくった。そう批判されても仕方がない。

 「多すぎる空港」はそこに就航する航空会社にも重荷となる。日本航空の経営が行き詰まったのも、収益性の低い地方路線の開設・維持を政官から迫られたことが一因だ。

 各空港はまず経営の効率化に努めなければならない。茨城空港は建設費を切り詰めた結果、羽田などに比べ着陸料などをかなり安く設定できた。この価格競争力を武器に、格安航空会社を呼び込みたい考えだ。

 関西国際空港は24時間運営の強みを生かして、航空貨物需要の開拓に力を入れるという。

 こうした努力を重ねても、多くの空港は採算に合うほどの需要は見込めないとみられる。空港の「選択と集中」は避けられない。関西には関空をはじめ主要空港が3つあるが、そもそも需要に対して設備過剰ではないか。公的資金による赤字補てんをいつまでも続けるわけにはいかないと関係者は銘記すべきだ。

 空港リストラを進めるうえで欠かせないのが経営のガラス張り化だ。国土交通省は昨夏初めて国管理空港の個別収支の試算を公表した。これは評価できるが、加えて別会計になっていることの多い付随の空港ターミナルビル会社などを含めた総合的な収支の開示が必要だ。

 空港そのものの収支は赤字で、その補てんに公的資金が使われているにもかかわらず、空港ビル会社は賃貸料や駐車場事業で利益を出し、天下りを受け入れている事例もある。適切な情報公開は非効率を一掃するための大切な一歩である。

 充実した「空のネットワーク」はその国が国際社会で存在感を発揮するために不可欠のインフラだ。韓国のように航空を戦略産業に位置付けている国も多い。

 日本では割高な着陸料など空港・航空はむしろ全体の足を引っ張る存在だ。日航再建で法的整理という大胆な手法を選んだ民主党政権には、空港政策の見直しについても思い切った指導力を求めたい。


NIKKEI NET 全文引用

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日経社説 IT産業で日本の存在感低下が心配だ(3/9)

2010年3月9日火曜日

 IT(情報技術)産業は世界で大きな成長を続けているが、その中で日本企業の影が薄くなっている。成長分野における日本の存在感低下は懸念すべき事態である。

 先週ドイツで開かれた欧州最大のIT見本市「CeBIT」に、かつて主役だった日本企業の出展はほとんどなかった。代わりに目立ったのは、中国や韓国の企業だ。

 見本市には約4200社が出展。ドイツテレコムやIBM、マイクロソフト、ボーダフォンなど欧米有力企業が大規模な展示を競ったのに対し、以前なら 100社を超えた日本からの出展は今回わずか6社だけだった。対照的に中国、台湾、香港の企業は合わせて680社、現地法人などを含めると1千社に達し た。

 日本の存在感が薄れた理由はいくつか考えられる。今回のテーマ「つながる世界」が示すように、ITの主力分野はハードからソフトやサービスに急速に移り つつある。ものづくりを得意とした日本は国内仕様の技術や規格にこだわり、ネット時代に移行するにつれ国際標準に乗り遅れてしまったという構図だ。

 夏にベルリンで家電見本市が開かれるため、ソニーなどがそちらに重点を移した面もある。だが、スマートフォンや電子書籍端末、3次元(3D)の立体表示装置などが注目される中で、中国や韓国の企業が様々な新製品を発表し、ハードの分野でも日本企業の影が薄れている。

 日本企業の国際感覚も問われている。様々な国際展示会で最近、中国や韓国の経営者が頻繁に講演しているのに、日本企業のトップは見あたらない。記者説明は現地任せが多く、経費節減を優先して本社の人間が現地を訪れる機会も激減した。

 日本最大のIT企業グループであるNTTも2005年を最後にCeBITへの出展をやめた。会場には顧客となる世界の有力企業約280社の最高情報責任 者(CIO)が集ったが、「次世代ネットワーク(NGN)」など日本が持てる新技術をそうした場で示さなければ、世界市場に打って出るのは難しいだろう。

 IT分野では企業や消費者向けの製品やサービスに加え、今後はスマートグリッド(次世代送電網)などインフラ分野の需要も拡大する。環境技術で日本は先行しているとされるが、こうした国際展示会でも日本企業の姿はほとんど見かけない。

 政府にも国際競争力を強める戦略が見えない。日本の存在感を高めるには、新しい技術や製品の開発とともに、それを海外に示す機会を増やし技術力を訴える努力が必要だ。

全文引用 NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20100308ASDK0800708032010.html

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日経社説 受動喫煙の防止策を急ごう(3/8)

2010年3月8日月曜日

他人が吸うたばこの煙で深刻な健康被害にあう。そんなことがあってはならない。

 厚生労働省はそうした受動喫煙の被害を防ぐため、病院や飲食店などの公共施設を原則として禁煙とするよう各地方自治体に通知した。神奈川県は飲食店などに禁煙か分煙を罰則つきで義務付ける「受動喫煙防止条例」を4月から施行する。

 たばこは禁制品ではないので「吸う自由」を尊重し、吸える場所を用意する必要がある。だが、たばこは約200種類の有害物質を含み、肺気腫や肺がんなどの原因になる。喫煙しない人にはとても迷惑だ。

 国や自治体が規制するだけでなく飲食店や商店などは、進んで受動喫煙を防ぐ努力をしてほしい。

 厚労省の通知は官公庁や病院を全面禁煙が望ましいとし、飲食店などで営業に大きな支障が及ぶ場合「分煙など」の対応を求めた。分煙では喫煙・禁煙両区域の境に仕切りを設け、煙が禁煙の区域に流れ込まないように促している。

 飲食店などが喫煙者だけを受け入れることにし、そのことを看板などに表示していれば「分煙など」と同じにみなし認めると同省はいう。

 ただしこの通知の内容はあいまいな部分が多いうえ、罰則がないので強制力に欠ける。同省によれば、通知のもととなった健康増進法が受動喫煙防止を努力義務にとどめているので、法律を超えることまで通知に書けないのだという。

 神奈川県は小規模の飲食店などを除き、禁煙か分煙を義務付け、違反者には5万円以下(店の場合)の過料を科す。この方がすっきりするし飲食店がライバルをにらみながら禁煙にするかどうか悩むこともない。国も健康増進法を改正して受動喫煙防止を義務にすべきだ。

 また喫煙者の権利は尊重するとしても、成人男性の30%強という喫煙率は欧米と比べ高い。これは値段の差とも関係がある。たばこ税の増税で10月から1 箱100円程度の値上げとなる見通しだが、マイルドセブンはいま300円。ニューヨークの同程度の銘柄の949円、英国の856円に比べかなり安い。

 健康を守るため、一層の増税と値上げを考えてもよいのではないか。


全文引用 NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20100307ASDK0500506032010.html

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日経社説 大型連休の分散化に知恵を出し合おう(3/7)

2010年3月7日日曜日

 政府の観光立国推進本部が全国を5つの地域に分け、日程をずらした大型連休を春と秋に設ける試案をまとめた。渋滞や混雑を緩和し旅行需要を掘り起こすとともに、繁閑の集客の差を縮め、受け入れ側の生産性を高める狙いもある。

 実現へ課題は多いが、生活の質の向上と新産業の育成につながるよう各方面で知恵を出し合いたい。

 2008年度の国内旅行消費額は23兆円。観光産業の国内総生産(GDP)に占める比率は2.3%と電力・ガス・水道業を合わせた2.2%と並ぶ。人手がいるため雇用創出に貢献し、食材調達などで地方経済に寄与する。他の先進国に比べ成長余地はまだ大きいとみられる。

 悩みは週末、年末年始、お盆、5月の連休に客が集中することだ。

 観光業界は「休暇が分散すれば、混雑で旅をあきらめていた人も足を運ぶ」「正社員による質の高いサービスも提供しやすくなる」「季節の花や旬の食材など新たな魅力も宣伝できる」などの理由から、休暇の分散化を望んできた。

 フランスでは長年かけて有給休暇を増やす、地域で学校の休暇期間をずらすなどの休暇政策を進め、観光産業を育成してきた。地域別休暇では他の欧州諸国にも例がある。

 休暇の分散が消費者と業界の双方に利点があるのは間違いない。ただ今回の試案に不安の声も聞かれる。主な理由は2つある。

 一つは企業活動への影響だ。本・支社間の連絡、取引先との受発注、決済、納入など地域をまたぐ仕事は多い。手順の変更、ミス防止の努力がいる。効率低下の懸念もある。中小企業からは「結局、休みは取れないのでは」との声も上がる。

 もう一つは5月の一斉連休が消えるため帰省や単身赴任者の帰宅、遠方の家族との旅行に差し障る点だ。新制度でレジャー消費が減っては本末転倒だ。「国民の祝日」の意味をどう考えるかという問題も残る。

 政府は数年かけて議論した成長戦略である点を丁寧に説明し、産業界の理解と協力を得る必要がある。経済的な得失の試算もほしい。日本経団連は観光を新た な成長産業と位置付け、準備期間などを条件に休暇の分散化に賛成している。有給休暇の取得促進策とうまく組み合わせるといった工夫も考えられる。

 休暇分散の推進を前提に地域の線引き、地域以外での分け方、期間設定などに皆で知恵を出せば、もっといい案になるのではないか。今回の試案を「休みは皆で一斉」からの脱皮を探る契機に生かしたい。

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日経社説 電気自動車の国際標準を狙うEU(3/5)

2010年3月5日金曜日

 低炭素社会の輸送手段として期待される電気自動車について、技術の国際標準を獲得しようとする欧州連合(EU)の戦略的な動きが目立ってきた。新たな規格づくりで、日米欧や中国など主要国の間で主導権争いが高まるのは間違いない。

 欧州委員会がまとめた経済成長戦略「欧州2020」は、EU域内の研究開発投資を、2020年までに国内総生産(GDP)の3%とする目標を掲げた。とりわけ省エネルギー・環境の分野を重視し、域内の企業の技術革新を政策的に後押しする方向を明確にしている。

 環境分野でのEUの政策で日本が注目すべき点は、電気自動車の技術の標準化である。電池、充電器、送配電の設備など製品分野が広く、これらの工業規格や安全基準がどう決まるかが、企業の将来の競争力を大きく左右する可能性があるからだ。

 電気自動車は、道路沿いの充電スタンドや自分の住宅で充電し、車体の中の電池に電気を蓄える。ひとたび燃料を入れれば、独立して走ることができる現在のガソリン車やハイブリッド車と違い、頻繁に送配電網と接続しなければならない。

 このため電気自動車に関連する工業規格づくりは、電力のインフラ全体のあり方を考えながら進める必要がある。政府の関与や企業間の連携によるシステム全体の体制づくりが欠かせない。

 例えば充電プラグの形が日本と欧州で異なれば、日本仕様の電気自動車はそのままでは欧州に輸出できない。日本が採用する規格が、そのまま国際標準となる 方が有利であるのは明らかだ。今のところ日米欧の企業の仕様はばらばらだが、欧州委員会の主導でEU域内の企業がひとつにまとまれば、国際的な影響力は高 まるだろう。

 EUは経済統合を通して、工業規格や安全基準を統一する経験を積んできた。域内で蓄積したノウハウを対外的な交渉にもいかし、国際標準化機構(ISO)などの国際機関で大きな発言力を握っている。

 日本企業はハイブリッド技術で米欧に先んじたが、電気自動車は実用化の途上にある。企業間の優劣の差はまだ明確ではない。国内でも、東京電力の主導で、急速充電の規格統一を目指す協議会を設立する動きが出始めたばかりだ。

 電気自動車が主力となる時代がいつ来るかは分からない。だが本格的な実用化の前の段階から、国内だけでなく世界市場をにらんた規格づくりの戦略が重要である。国際標準の獲得競争に出遅れてはならない。

2010/03/05 NIKKEI NET 全文引用
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20100304ASDK0400504032010.html

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日経社説 温暖化対策法案で原発の推進策を示せ(3/3)

2010年3月4日木曜日

 政府が今国会に提出を目指している地球温暖化対策基本法案で、原子力発電の扱いが定まらない。連立政権を組む社民党が原発推進に難色を示しているためとされる。


 鳩山政権は米中などが意欲的な目標を示すことを前提に、温暖化ガスを2020年までに1990年比で25%減らす目標を掲げる。その達成へ二酸化炭素をほとんど出さない原発の役割は大きい。同法案で原発の推進策を明確に示すべきだ。

 国内に54基ある原発は日本の発電量の26%(07年度)をまかなっている。原発から出る二酸化炭素は建設から運転、廃炉まで含め石炭火力の45分の 1、最新鋭の液化天然ガス(LNG)火力の25分の1以下と少ない。発電コストも1キロワット時当たり6円と、火力発電のほぼ半分だ。

 太陽光など自然エネルギーの普及は重要だが、エネルギー全体に占める割合は今は1%強で、コストを抑えて安定供給するには課題がある。

 麻生前政権が20年までに温暖化ガスを05年比で15%減らす目標(90年比で8%減)を示した際、経済産業省は発電量に占める原発の比率を40%に高める必要があると試算した。温暖化ガス25%減なら、原発の比率をさらに高めなければならない。

 民主党は先の衆院選のマニフェスト(政権公約)で原子力について「安全第一に、国民の理解を得ながら着実に取り組む」と記した。社民党の反対を理由に原発に消極的な姿勢を取るべきではない。

 政府はまず、18年度までに予定される9基の新増設が着実に進むよう後押しする必要がある。新潟県中越沖地震の影響で60%まで低下した原発全体の稼働率の回復も急務だ。

 法案づくりと併せて進める行程表で、原発の発電比率や稼働率の回復などの数値目標を盛り込むのが望ましい。稼働率をピーク時(98年度)の84%まで戻すだけで、温暖化ガスは現状に比べ5%減る。欧米のように原発を運転したまま検査できるよう安全規制も見直すべきだ。

 鳩山首相は、ベトナムが計画する原発建設で日本企業が受注できるよう自らトップセールスに乗り出す意向を表明した。日本の原発技術は海外勢と十分に対抗でき、低炭素化と産業競争力の強化を両立させる柱になりうる。

 国内で原発の新規着工は80年代に23基あったが、2000年以降は3基に減った。技術を受け継ぐ若手人材の不足や関連企業の雇用減少が懸念されている。原発の安全性を確保するためにも、原子力の持続的な利用を促す政策が欠かせない。

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日経社説 世界に躍進する韓国企業に学ぼう(3/4)

 韓国企業の世界市場での躍進が目立っている。電機、電子産業を中心に、日本企業の低迷を尻目に競争力格差が開く。韓国勢の強さを謙虚に受け止め、学ぶべきものは学ぶ必要があるのではないか。


 日本国内では目立たないが、世界に目を向けると、韓国企業の台頭ぶりに驚かされる。薄型テレビの2009年の世界シェアは、1位がサムスン電子、LG電子も2位に浮上した[1]。半導体でもパソコンなどに使うDRAMでサムスンが1位だ。

世界シェア上位相次ぐ

 フィンランドのノキアがトップの携帯電話も、2位のサムスン、3位のLGが世界販売を伸ばしている。乗用車は現代自動車が成長市場の中国で2位、インドでも快走する。

 業績も好調だ。サムスン電子の09年の連結営業利益は前の期に比べ9割増の10兆9200億ウォン(約8700億円)。10年3月期の営業利益予想が日本の電機業界で最も大きいパナソニックでさえ1500億円だ。

 サムスンとの収益力の違いは明らかで、09年に円換算で約3300億円の営業利益をあげたLG電子にも及ばない。日本の電機の営業利益見通しは大手9社を束ねても6400億円どまりだ。

 世界同時不況の影響を受けた点では、日本も韓国も変わりない。韓国勢が躍進した要因のひとつに、通貨ウォン安の追い風が挙げられる。ウォンはリーマン・ショック以降、円に対し大幅に下落。日本と競合製品が多い韓国企業は、輸出市場での価格競争力を強めることになった。

 もっとも、為替効果という外部要因だけで韓国企業が競争力を増したとみるのは間違いだ。3つの自助努力がある。まず不況下での積極投資を含めた大胆かつ 迅速な経営判断、次に高付加価値の商品を集中的に投入する販売戦略、そして先進国のみならず、アジアやアフリカも含めた新興・途上国市場をくまなく取り込 む地道な海外戦略だ。

 新たな売れ筋商品、LED(発光ダイオード)テレビは明暗を分けた典型だ。薄型テレビのバックライトに蛍光管ではなく、電力消費が少ないLEDを使った LEDテレビは、技術でも販売開始でも日本企業が先行していた。しかし、サムスンは米国市場に新商品として大量投入し、8割を超えるシェアを確保した。

 日本勢が次世代の戦略商品とする3次元の3Dテレビでは、サムスンがパナソニックに先駆け、韓国内で販売を開始した。技術力やデザイン面の日本の優位性がほとんどなくなった現状では、商品化のスピードがモノをいう。

 サムスン、LG、現代自動車グループなど、韓国の代表的な企業集団は、オーナー経営者が率いる。迅速な投資判断などで、日本はまねできない面もあるが、海外市場開拓にかける意気込みと決断力、地道な努力は日本企業も参考にすべきものがある。要は危機意識の違いである。

 人口が日本の半分に満たず、経済規模も日本のおよそ5分の1の韓国では、企業は海外市場に持続的成長の活路を求めるしかない。現にLG電子の海外従業員は全体の7割近くを占め、LGやサムスン電子の海外売上高比率は8割を超える。

 韓国は国内市場の競争で競合企業が少ないのも特徴だ。1997年のアジア通貨危機を契機に、政府主導で大胆な事業集約を進めた結果である。現在、現代自 動車グループの国内シェアは7割を超える。国内の同一業種で多くの企業がしのぎを削る日本と違い、韓国企業は国内で稼いだ利益を研究開発や設備投資、さら には海外市場開拓に回せる。

日本も競合企業集約を

 経済産業省によれば、韓国は日本より国全体の市場規模が小さいにもかかわらず、主要企業1社当たりの国内市場規模は、乗用車が日本企業の1.5倍、携帯電話は2.2倍だ。日本では携帯電話でシャープなど主要6社が競うが、韓国はサムスン、LGの2社が圧倒する。

 日本は人口が減り内需縮小が避けられない。競合企業が国内で消耗戦を続け、わずかな余力しか海外に振り向けられないようでは、韓国企業に追いつけない。業種別の再編集約を通じ、規模の利益を通じた集中投資や海外への資源配分を強める経営戦略も、真剣に検討すべきだ。

 産業構造が似通う日韓の企業連携も課題だ。特に、技術の模倣に積極的な中国勢の攻勢は、日韓共通の脅威である。日韓の民間レベルでの連携や協力が進めば、停滞する日韓の自由貿易協定(FTA)交渉を促すことにもなろう。

 アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の原発建設で、韓国勢が官民一体で受注したのは記憶に新しい。韓国政府は海外でのプラント受注に限らず、半導体など得意分野の技術支援も進めている。日本政府もグローバル戦略産業の育成にもっと目を向けるべきである。



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1.

[1]朝日「薄型テレビの世界シェアの推移」

2. 09年の連結営業利益

サムスン:8700億円

LG:約3300億円

松下:1500億円

日本の電機大手9社合計:6400億円

3. 韓国勢が躍進した要因

1)通貨ウォン安の追い風

2)不況下での積極投資を含めた大胆かつ 迅速な経営判断

3)高付加価値の商品を集中的に投入する販売戦略

4)新興・途上国市場をくまなく取り込 む地道な海外戦略

4. 日本企業との違い

1)経済規模は日本のおよそ5分の1

2)代表的な企業集団はオーナー経営者が率いている

3)海外市場に持続的成長の活路を求める

4)国内市場の競争で競合企業が少ない



その他

官民の一体感

国内市場の奪い合いによる疲弊


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