郵政法案迷走 またも露呈した指導力のなさ(3月27日付・読売社説)
2010年3月28日日曜日
郵政改革法案の策定作業が、土壇場で迷走している。亀井郵政改革相と原口総務相が発表した最終案に閣内で異論が噴き出したためだ。
首相は、内閣を二分しかねない事態を深刻に受け止め、自ら収拾にあたるべきだ。
仙谷国家戦略相は、最終案に盛り込まれた、ゆうちょ銀行の預入限度額の1000万円から2000万円への引き上げは、国債運用に回る資金を増やすだけで、民間への融資や投資の拡大につながらないと批判した。的確な指摘といえよう。
菅財務相は、亀井氏が日本郵政グループ間の取引に消費税を課さないようにするとしていることに関し、「聞いていない」と述べた。郵政だけに特例措置を認めるのは筋が通らない、という判断からであろう。
これに対し、亀井氏は、最終案の発表前に首相の了解を得ていると反発した。今度は首相が「了解していない」と発言して混乱に拍車をかけ、双方が水掛け論を演じる醜態ぶりだ。
郵政改革の骨格部分について、首相と担当閣僚や、閣僚同士の対立が露呈する。これでは、野党から内閣の体をなしていないとの批判が出るのも当然だ。
首相は一体、郵政改革法案づくりの
首相の指導力不足が、混乱の主因といえる。
民主党が野党時代の2005年に示した改革案は、郵貯の限度額について、引き上げどころか、500万円に下げる内容だった。
当時幹事長だった鳩山首相は、小泉内閣の法案を、「官業の民業圧迫」と批判し、民主党案の方が優れていると主張していた。民主党本来の政策を転換するなら、十分な説明が必要になろう。
26日の閣僚懇談会で、首相は、全閣僚による懇談会を開いて調整するよう指示した。
しかし、亀井氏は、ゆうちょ銀行の預入限度額は変更しない考えを示している。原口氏も「手続きに
首相は26日の記者会見で、「閣議で決まる前に、いろいろな声が閣僚の中にあるのは、むしろ健全だ」と述べた。閣内不統一を呈している現状への危機感がまったく感じられない発言だ。
こんなことで、内閣を束ねていけるのだろうか。
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